第20章 柱稽古とお館様
「お前以外意識飛びかけてる奴いねぇよ……部屋で休んでろ」
心身共に休ませていただきたいのは山々だが、貴重な柱同士の稽古をみすみす見逃すなど勿体ないことは出来ない。
かと言って更紗自身の柱稽古を疎かにするのはもっと勿体なくあり、師範である杏寿郎も絶対に許さないだろう。
ここは意固地になって食い下がるのではなく体を休める方が賢明だと判断した更紗は、少し顔を俯かせて実弥の言うことを受け入れた。
「はい。お2人の稽古をすごく見たかったですが……諦めます」
更紗の返答に杏寿郎と実弥はキョトンとしている。
何を言っているのか分からないといった顔だ。
「なぜ諦める必要があるんだ?昼餉を食べ、少し休憩してから合流すればいいだろう?初めからは見れなくとも、途中からなら問題なく見学出来ると思うが」
「本当ですね!そうさせていただきます!そうと決まれば昼餉を早く作ってしまいましょう。朝に下準備は済ませていますので、皆さんは休んでいてください!」
ご機嫌で走り去る更紗を全員で見送った。
しかし昼餉もうつらうつらとしながら食べていたので、完全に元気な姿を見れるようになったのは一刻後である。