第20章 柱稽古とお館様
「すみま……せん……後でもう一度……お伺いさせて、いただきます」
永遠と狙われ続け剣士たちの傷を癒し、自らの傷は後回しにしたにもかかわらず息も絶え絶えで軽い脱水症状を起こしかけている。
喉が乾いているように感じるが、痛みがそれを凌駕しているので乾いているのか曖昧だ。
明らかに様子のおかしい更紗に気付いた杏寿郎は、すかさず用意していた水の入った竹筒を口元に持って行ってやった。
「よく頑張ったな。自分で飲めそうか?」
差し出された竹筒をチラと見遣って小さく頷き、産まれたての小鹿のように震える手で自分の体を支えながら、体が今1番欲しているものを辛うじて受け取る。
「ありがとう……ございます」
更紗はどうにか上体を起こして竹筒から命の水を喉へと流し込み、ようやく周りの様子や音が情報として入ってきた。
「し、死ぬかと思いました!師範や実弥さん、皆さんは大丈夫ですか?怪我は治せますが脱水症状は私には治せませんので、水が必要な方がいましたら運びますよ!」
いきなり立ち上がり柱2人と剣士たちを見回すが自分ほど重症の者はいないようで、剣士たちは自分で水分を補給していた。