第1章 生きてるだけで【煉獄杏寿郎】
あれからしばらくして鬼殺隊は大きすぎる犠牲と引き換えに無惨を倒した。
数年が経った今でも、彼が未来を託したあの4人は時々屋敷を訪ねてくれる。
あの列車が初対面だったのに、随分私の旦那は慕われていたようだ。
「こんにちは!唄羽さん!杏華ちゃんは元気ですか?」
「いらっしゃいみんな。…杏華おいで」
「はーい母様」
杏華は、3年前に生まれた。
元気な女の子に育った。
この黄色くて、毛先だけちょっと赤い髪の毛はきっと杏寿郎の遺伝だろう。
花のように明るく元気に育っている。
「女の子なら、杏華はどうだろう…俺の名前から、一字とってしまったが、忘れないで欲しいんだ…それから君の華のような強さと美しさ…よもや、案外いい名前ではないだろうか」
死の間際、苦しいはずなのに一生懸命考える彼の姿を思い出し愛らしく、笑みが溢れる。
最期まで暖かく、太陽のような人であった。
「ありがとう杏寿郎。貴方に出会えて本当に良かった」