第79章 家族の形$
「俺の親は……親父が酔っ払うと手が付けられない様な荒くれ者でよォ……機嫌が悪いと誰彼構わず殴るわ蹴るわ……俺たち子供を殴られないようにって、母さんがいつも体を張って守ってくれたんだァ……」
初めて聞く不死川の両親の話。
「母親の体は痣だらけで、時には酷く腫れ上がってた。少しして、親父が死んだ時に、俺は心底安心した。これで怖い思いをしなくて済むと思ったんだァ。涙は一つも出なかった……」
不死川の顔からは何の感情も読み取れない。
「母さんと俺たち子供だけの生活が始まって一月位経った頃だ。夜中、鬼に兄弟達が喰われた……俺は無我夢中で鉈(なた)を手に取って抵抗した……怯んだのか逃げていく鬼を、俺は追いかけて……外に出た……鬼の正体が…母さんだったのを知った時……俺は……」
不死川の背中が小さくなる。
縮んだ訳では無いが、身をかがめる彼が、幸には幼い少年に見えた。
「俺は……母さんを朝陽で焼き殺した……助かったのは俺と玄弥の二人だけだァ……」