第79章 家族の形$
「……正直言やァ、玄弥には普通に過ごして欲しかったんだ。鬼殺隊みたいに命懸けの部隊に入ることなんて俺は……人殺しは……俺だけで、十分だったん……」
「実弥さん……」
彼の心境を思うと、胸がギュッと締め付けられるような想いがした。
私は初めてこの人が普通の人間だったことを知った。
今までは、何処か雲の上の人の様に感じていたのだ。
けれど……
「実弥さん。沢山頑張りましたね」
私は彼を抱き締めて頭を撫でた。
普段とは真逆の立場だが、今は彼の心を孤独にしない事を優先した。
玄弥君を突き放した理由もこれで分かった。
彼は生き残った最後の弟まで失うかもしれないと恐れていたのだ。
きっと玄弥君が彼にとっての希望だったのだ。
「幸……」
涙は見受けられない。
けれども、彼の心が泣いている様な気がした。