第79章 家族の形$
せっかく実弥さんが用意してくれた柚子でぽかぽかお風呂を予定していたのに、自分で悩みの深みにはまるなど本末転倒である。
仕立てた夜着に袖を通し、髪を纏める。
結い上げるほど長さはないのだが、以前と比べると髪が伸びたので、寝る時は左右のどちらかに緩く纏めるようにしているのだ。
「………」
寝室へと向かう足取りが重くなっていく。
「幸」
「実弥さん……寝室に居たんじゃ……」
「すまねェ、お前にそんな顔させて…」
「違います、実弥さんは悪くありません……」
「いや、不安にさせたのは俺だ……ちゃんと話させてくれ……俺の親のこと……聞いてくれるか……?」
実弥さんの指先が微かに震えている。
「……分かりました。私も知りたいです」