第79章 家族の形$
「柚のお風呂ー♪」
るんるんで入浴準備を進める幸に下心があることを話そうにも話せなくなる不死川である。
「………」
俺の考えが浅いのか?
普通こういうのって女側が照れるとか、恥ずかしがってやっぱりやめませんかとか……言ってくるもんじゃねえのかよォっっ!?
不死川が内心でかなり取り乱しているのも露知らず、幸はせっせと入浴準備を進める。
「あ、実弥さん。今日新しく夜着を仕立てましたので、着てみて貰えますか?」
「へぇ……」
畳んであるので全容は分からないが、淡い薄緑色の生地で仕立ててあるのを見て、わざわざ選んでくれたのかと自然と頬が緩む不死川。
「私のも用意したんです、薄めの黄色なんですけど、横に並べると、春になる様な気がしませんか?」
幸の言わんとしている色合いが、以前好きだと聞いた福寿草を想起させる。