第72章 乞い願う、光を求めて
「雷をもって彼の者を裁け!!」
これまで聞いたことがない、舞山の声。
皮肉や侮蔑の含まれない、よく通るこの声が本来の彼なのだというのならば、俺たちは一体今まで何と戦わされていたのだろうか。
あれほど、憎んできた鬼舞辻が今目の前に居るのに、炭治郎は動けなかった。
家族を殺され、生き残った妹は鬼にされ……
炭治郎にとっての鬼舞辻は悪鬼そのもので。
怒りも憤りも全て彼に向けたものであったはずなのに、何故今俺はこんなにも……
炭治郎は警戒態勢を取りつつも、内心では揺れていた。
だって、そうだろう。
誰も鬼舞辻無惨が善良だと思っていない。
鬼殺隊にとっての悪の根源である鬼の始祖であるこの男を簡単に許すことは出来ない。
けれど……
黒幕が鬼舞辻では無いのならば……
そもそも、自分の意思で彼が鬼になったのではないのならば……
それは、罪のお仕着せである…