第70章 咲くは朱なれど散るは白
どうやら意識が混濁しているようで、冨岡の声かけにも返答が無い。
「さぁ、目覚めよ。茨木童子!!この世に厄災を振り撒くのだ!!」
勢いよく、目を見開いた白藤であったが、その瞳に光はなく………
冨岡から逃れようと、もがき始める。
そんな彼女の様子に、流石の冨岡も焦り始める。
先程、血鬼術で作り出した藤の蔦の球体に亀裂が走る。
「おいおい、本気かよ……」
宇髄の呟きと球体の籠が崩壊したのは、ほぼ同時。
冨岡の腕を振り払う彼女の姿に気を取られて、鬼殺隊は動きを止めた。
それだけ、その光景が信じられないものだったからだ。
「白藤、さん?」
炭治郎さえ、目を疑った。
そこに居たのは、以前遊郭で鬼化が進んだ禰豆子と白藤が近しい様相をしていたからだ。
血走った眼に、一対の角、手足に刻まれた藤の花の紋様。