第70章 咲くは朱なれど散るは白
「面白い。鬼殺隊の人間が鬼の娘に懸想したか」
蘆屋道満の台詞とともに、差し向けられた猗窩座が冨岡を目掛けて技を放つ。
「術式展開 破壊殺・滅式!!」
「義勇さん!!」
「白藤!!」
気付けば、私は飛び出していた。
もう、誰かを目の前で失うのが嫌だったから。
選びきれない自分を呪いながら、それでもと彼に手を伸ばす。
鬼の私が人に恋をする。
これが、もう何度目なのか、分からない。
大切な人はいつも、私より先に居なくなってしまうから。
舞山様も、巌勝様も、槙寿郎様も……
皆、私を連れ出してはくれなかった。
でも、彼は。
義勇さんは私を連れ出してくれた。