第70章 咲くは朱なれど散るは白
だからこそ、迷ってしまう。
差し出された手に、戸惑ってしまう。
どうすればいい?
今、この場で選ばなくてはいけないのだろうか?
かつての主と、今を共に生きる恋人を………
心の迷いは、隙に繋がる。
その瞬間を、優れた術士が見逃すはずがない。
再び、童磨の発する冷気で凍えそうになる白藤を今度は冨岡が支える。
彼の視線が問うてくる。
俺では駄目か、と……
共に在りたい、共に生きたい。
貴方を望んだ自分に嘘は無い。
でも、見つけてしまった。
かつての主を。
守りたいと思った。
自分の命と引き換えにしても、生かさなくては。
家や言いつけだけでは無い。
この方に、ついていけるのならば、きっと………
そう、思った。