第52章 審神者代理
「そろそろ、本題に入っていいからしら。」
七海は、少し呆れたように雪崩の山を見ながら両手を腰に当てた。
それを聞くと、彼等は次々と起き上がって居住まいを正し、七海の周りに集まっていく。
「先ずはお互いの現状を報告しましょ。」
「じゃ、俺から。」
七海が言うと、彼女の正面にいた鶴丸が手を挙げて、レンの留守中の出来事を話して聞かせる。
七海には既に話したことで、主にレンへの報告といった面が強い。
「…ふ〜ん。やりましたね。お疲れ様でした。」
話を一通り聞き終わってから、レンはニヤリと笑いながら鶴丸を労う。
「正に特訓の成果あり、だっただろう?」
「そうですね。やっといて正解でした。」
「…何度聞いても呆れるわ。魂縛りは審神者にとって刀剣達を統率する為には欠かせない呪よ。
もしも暴走した時に、手に負えなくなったらどうするの?」
七海は半眼でレンを見遣るが、彼女は肩を竦めるだけだった。
「必要性を感じません。実際、禍ツ神になりかけた小夜さんも止めることは出来ましたし、時間遡行軍も多数倒しました。」
「それも聞いたわ。半分嘘だと思っていたけど、あなたを見ていたら真実味が湧いてきたわ。」
七海は、やれやれと首を振る。
それを見たレンは、例え話をしましょう、と切り出した。
「仮に使うとします。」
レンはそう言って、
「鳴狐、遠征に行ってこい。…って言ったらどんな気持ちですか?」
隣の鳴狐を見る。勿論、呪はかけていない。
「びっくりしますよ!心臓に悪い!」
お付きの狐は目を吊り上げて怒鳴った。
鳴狐も眉根を寄せて、口を真一文字に強く結ぶ。
「…やだ。」
「と、なるわけです。」
と言って、反対側の七海を見る。
「しかも私から命令することなんて、そういった類のことしかありませんから、使うだけチャクラ…神気の無駄ですよね。お互いギスギスしますし。」
レンの場合は一理ある、と七海は思った。
「まぁ、いいわ。ここだけの話とするならば目を瞑っておくわ。
あなた達も、これに甘んじることなくレンの指示にはよく従ってちょうだいね。」
七海はそう言って、刀剣達を見回した。
「勿論!」
「心得ている。」
乱と鶴丸が答え、彼等は一様に頷く。