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君に届くまで

第52章 審神者代理



「ただいま〜。」

「帰ったよ。」

「戻りました。」

大和守、燭台切、レンの順で軒先から靴を脱いで廊下に上がる。
次いで、七海、長谷部、瀬戸も上がった。
廊下の角に簡易的に下駄箱を作ってあり、彼等は代わる代わる靴を片付けていく。
そして、レンが広間に入った瞬間、



「「「「おかえり〜!!!!」」」」



と言って、大和守、燭台切を除く刀剣達は一斉にレンに飛びかかった。
が、レンは難なくするりと避ける。
抱きつく対象物を失った彼等は、雪崩のように、どたどたどたっと折り重なりながら転けていく。

「何で避けるんだ!」

一番先頭にいた鶴丸は、顔を起こしながらレンに文句を言った。
額でも打ったのだろうか。薄ら赤くなっている。

「そりゃ避けますよ。潰れちゃうじゃないですか。」

平然と言って退けてから、レンは服の中から朱色の筒を取り出してコンコンコンとノックする。

「出てきていいですよ。」

レンが呼びかけると、筒の先からポンという音と共に、こんのすけが飛び出した。
レンがすかさず右手で受け取ると地面に下ろしてやる。

「ふぁぁ〜…。退屈で御座いました。」

こんのすけはそう言って、ぐぅーっと体を伸ばすと、ぶるぶるぶると体を振るい、毛並みを整えはじめた。

レンは、それを見てから筒をまた服の中にしまうと、今度は簡易転移装置を取り出して、金の鎖を首から外す。
そして、雪崩の一番下で下敷きになっている加州の手を開くと、彼の手の中に簡易転移装置を纏めて握らせる。

「ありがとうございました。お返しします。」

加州はそれを見て驚き、目を瞠った。

「…いいの?」

「何がです?」

「てっきり、そのままレンが貰うものだと思ってたから…。」

「え?貰っていいならください。」

レンは聞くや否や、すっと手を差し出した。

「え!?だめ!」

くれ、と言われると、あげたくないものである。
加州は慌てて両手で抱え込んだ。

「…期待させといてそれはないんじゃないですか?」

レンは少しムスッとしながら加州を見る。

「いいの。俺が持ってるの。使いたい時に貸してあげるから。」

加州は嬉しそうに笑いながら言った。
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