第52章 審神者代理
―――キイィィィィンーーー
レンの耳は、またあの耳障りな音を拾う。
他の者は何事もなく歩いていくが、レンはひとり留まりきょろきょろと辺りを見回す。
御堂の屋根、石灯籠、柱、と順番に見ていくが見つけることが出来ない。
ー近くにいるはずなんだけどな…。
レンは御堂からゆっくり出ながら辺りの木や草むらを探す。
しかし、相手は爪楊枝よりも小さな大きさだ。ましてや今は夕方。それも帳が降りたばかりの暗闇だ。目視で探すには無理がある。
「どうしたの?」
レンがついて来ないことに気がついた大和守が戻ってきた。
「音がしたんです。近くにいると思うんですが…。」
レンは言いながら、尚も辺りを注意深く探す。
「まだいたんだ。油断も隙もないね。」
大和守は顔を顰めながらも辺りを見回した。
「何してるの?」
今度は七海が戻ってきた。
皆で引き返してきたらしい。
「蜘蛛がいないか確かめています。」
「蜘蛛?」
「これくらいの蜘蛛型の機械です。カメラと集音器を乗せていました。」
レンはそう言うと、指で大きさを示した。
「盗聴器だね。」
燭台切はレンの言葉を訂正する。
「…スパイダーか。」
瀬戸は苦い顔をした。
スパイダーとは最新型の蜘蛛型の盗撮・盗聴器だ。
人の動きを検知して自動でそちらに近づき、盗撮・盗聴する。目が合えば、自動で逃げる。
狭い範囲であれば、クリアに音を拾うという優れものだ。
ーなんでそんな物が本丸に…。
瀬戸は眉間に皺を寄せる。
見張られているなど気分が悪い。