第52章 審神者代理
「転移装置よ。人数が多い時はここを使うの。」
七海は、隅にあったパネルを操作しながら答えた。
「へぇ…。」
レンは、興味深く外側の石灯籠に近づいてみる。
雨風に晒されていないせいか、本丸のそれよりは手触りがとても滑らかだ。
灯籠の内側には方陣が描かれており、本丸の転移装置に描かれていたものと同じように見える。
しかし、大きさは比べ物にならないくらいに大きい。目算で測っても本丸の倍以上にはあるだろう。
そして、最も特徴的なのは中央部の水晶だ。
一抱えはあるだろう大きさのそれは、豪華な台座の上にどっしりと嵌っている。その様はまるで巨大な宝石だ。
台座は、朱色の下地に金で細かな細工の施された飾りが嵌め込まれている。
水晶を支えるのは、太い金に唐草模様が彫り込まれた12つの爪で、鷲の鉤爪を思わせる。
「こんな大きい水晶がよくありましたね。」
レンは感心しながら聞くと、七海は肩を竦めた。
「少し前に地震で火山口がぱっくり開いてね、人間が出入りできるようになったの。その奥底に大量の原石が眠っていたのよ。そこから採ってきたんですって。」
人間って強欲よね、と言いながら七海は嫌そうな顔をする。
「みんな、方陣の中に入って。本丸に飛ぶわよ。ほら、あなたも手伝ってちょうだい。」
七海は皆を灯籠の内側に入るよう指示しながら、レンを促す。
「何をすればいいんですか?」
「この大きな水晶に手を当てて、霊力を込めればいいのよ。」
「わかりました。」
レンは頷くと、水晶に手を当てた。
「集まったわね?」
七海が確認すると、彼等は頷いた。
「いくわよ。」
七海はレンに合図を送り、レンは了承する。
水晶は2人の神気を受けてぼんやりと光り出す。
次いで足元の方陣が眩い光を放ち、彼等を半円状に覆う。
すると、すっと景色が変わり、あっという間に本丸の転移装置に移動した。