第52章 審神者代理
「真意を探ろうと思って。いきなり何も言わずに頭をぶち抜かれたのには少々驚きましたが。」
そう言ってレンは、自身の額を指でとん、とん、と指差した。
それを聞いた大和守と燭台切は殺気立つ。
目をギラリと光らせて振り向き、ひたと江藤を見据えた。
「…こいつ、今殺していいかな?」
「大和君がやるなら僕もやるよ。」
江藤は彼等の殺気に怖気づき、震えながら後ろに数歩下がった。
「いやいや、何の為に私が無抵抗を貫いたと思ってるんですか。」
レンは、呆れながら2人の服の裾を掴んで引っ張る。
「馬鹿も休み休み言いなさい。」
七海も止めに入った。
「成程な。さっき言ってた人殺しが彷徨くうんぬんは、こいつのことだったのか。」
瀬戸は探るように江藤をじろじろ見る。
それを見て、七海と長谷部は呆れるように瀬戸を見遣った。
「…それよりも、この2人を止めるのを手伝ってもらえませんかね。」
長谷部が、飛びかかろうとする大和守を止めながらぼやく。
七海はその後ろで、はぁ、と大きくため息をついた。
「父が何を言ったか知らないけれど。
付喪神達は自ら主を選んだ。あなたの妹君は主従の契りすら結んでいない。これが全てよ。」
七海は、江藤に静かにそう言って、また歩き出した。
「はい、行きますよー。」
レンは、大和守と燭台切の腕をがっちり掴んで七海に続く。
「…全て…。知って、いたのですか。」
江藤は呆然としながらも、すれ違う七海に何とかそれだけを尋ねる。
七海は馬鹿馬鹿しいとばかりに鼻で笑った。
「愚問ね。そんなの、刀剣達を見れば一目瞭然だわ。」
七海は歩みを止めることなく、吐き捨てるように言いながら去っていく。
江藤は、只々その場で立ち尽くしていた。