第52章 審神者代理
ふと前方を見ると、前から誰かが歩いて来る。男性のようだ。
その人物もこちらに気が付いたようで、立ち止まる。
レンには、それがとても不自然に映った。
隣の大和守も同じだったようで、纏う空気が少し変わった。
レンは目を眇めてよくよく見てみると、その人物は江藤だった。
近づくにつれ、江藤が驚きに目を瞠っているのがよくわかる。
一行は、黙って立ち尽くす彼の横を通り過ぎようとした。
「奥脇様!」
江藤に飛び止められて、七海は歩みを止める。
それに伴い、全員がその場に止まった。
「その者は部外者の筈では?何故ここにいるのですか。」
江藤は、レンを見て非難した。
その瞳には、憎悪が込められている。
ー恨みたいのはこちらの方だと思うが…。
レンは呆れながら江藤を見返した。
七海は、レンを部外者と言ってのける江藤に不快感を覚える。
つまりは、自分達に都合の悪いものは、人だろうと何だろうと爪弾きに出来る、ということではないか。
平気で人を駒にし、甘い汁を貪る、あの男を思い出させる。
「…何故、あなたがこの方を知っているの?」
七海は大体の事情を知っていたが、敢えて尋ねてみる。
「その者は不法侵入者です。審神者でないにも関わらず、我が物顔で審神者様の本丸に居座っているのです。」
江藤はそうとは知らず、これ幸いと自身の正当を主張し始めた。