第52章 審神者代理
七海が、丸みを帯びた半円型の取っ手を持って手前に引くと、すぐに短い階段が現れる。
登っていくと、会議室の様な場所に出た。
「ここって…。」
レンは見覚えがあった。潜入時に加州と一緒に見て回った内の一室だと記憶している。
だだっ広い場所に、断続的に楕円形になるように配置された机と椅子。
しかし、部屋の広さと机などの数がちぐはぐな気がして、妙に引っかかっていた。
「ここに繋がってるんですか。」
ふと、レンは今し方通った入り口を振り返ると、そこにはただの壁しかなく、入り口が綺麗に消えていた。
ー成程、よく出来ている。
会議室はただのカモフラージュなのだろう。
レンは試しに、押したり、叩いたりしてみたが、入り口が現れることはなかった。
「へぇ。レンと清光はここに来たのか。」
大和守が物珍しそうにきょろきょろと辺りを見回した。
レンは、入り口を調べるのを諦めて振り返る。
「そうですね。特にこの塔を含めた5ヶ所は覚えがあります。」
「ここにも入っていたのね。」
七海は、呆れながらレンを見遣る。
「はい。鍵はかかってないし、広い割に座席がスカスカだし、で印象に残ってました。」
「あなたには呆れるわ。よくこの五稜郭に入ろうと思ったわね。」
七海とて審神者の端くれだ。
五稜郭がどういう所で、如何に厳重な警備体制が敷かれているか知っている。
それだけに、そんな無謀なことをやってのけたレンには唖然とするばかりだ。
「まぁ、警備は然程厳しくなかったですからね。行って帰って来るくらいはどうってことはありませんでした。
まぁ今は無理でしょうね。」
平然と言ってのけるレンに、七海は益々呆れ返った。