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水平線に消えゆく[進撃の巨人/リヴァイ]

第2章 :神業と出立と霹靂(そんな程度の女)


 の語尾が弱かったのは、そういう意味ではないと分かっていたからだった。両手に腰を添えているリヴァイは、首を振って溜息をつく。
「そうじゃない。供に闘う仲間が対象になるかもしれないだろう」

 やっぱり、と思いながらは意見した。
「兵団同士で仲違いするかもしれないってことですか。だから闘う力はいらないんだって、さっきから言ってるじゃないですか」
「武力を捨てることは無理だ。必要悪である限り、最悪の自体も考えられる。ならばそのときに備え、力を蓄えておかないといけない」

「だからその備えが」
 リヴァイは手のひらでの語尾を遮った。疲れの色を言葉に滲ませる。
「繰り返しになる。争いを嫌う天使様のようなお前の考えはもういい」
「いい子ぶってるわけではなくて、せっかく平和なのに、わざわざ武力を高める必要はないってことを言いたいわけで」

 武力の問題では日本も変革のときが訪れていた。「うちは各国と争う気はありませんので武器は持ちません」こんなことはもう通じなくなっているのだ。そんなことではよその国からミサイルが飛んできた場合、力のない国は泣き寝入りするしかない。

 自衛権が必要になってしまうのは世界が闘う力を捨てないからだ。が、この世界はこの国を残して滅んでおり、したがって隣国が侵略してくることもない。一つの国しかないのだから、力を捨てれば、少なくとも巨人以外の脅威に襲われることはない、とは思った。

「では訊く。はこの国が平和だと思うか」
 まだ全部を見たわけではないから、は自信ない上目遣いで頷いた。
「外見だけを見れば」
「上っ面だけだろ。すれ違う輩が腹ん中で何企んでるか、分かりゃしねぇよな」
「それは人間だから……ですか?」
 落ち込みそうで自然と声量が小さくなってしまった。人間は賢いために、結局争いをやめることができない生物なのか。

「知恵のねぇグズな巨人だったら、そんな心配はいらない。その巨人の脅威が抑止力となって国が一致団結してる――ように見えるが」
 リヴァイは森のほうへ瞳を流す。
「所詮人間だ、何が起こるか分からない。明日の敵は今日の友というが、逆もまたしかりだろ」
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