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水平線に消えゆく[進撃の巨人/リヴァイ]

第2章 :神業と出立と霹靂(そんな程度の女)


 調査兵団へ入りたいと二人は強く望んでいた。死に急ぎ野郎などと言われてしまうほど過酷な所なのに。なぜ志望するのか、さきほど話してくれたことが全部ではないだろうけれど。
 今日ここへ来たことは無駄ではなかったと思う。彼らの修練振りを見ることができて、はこの世界のことが少しだけ分かった気がしたのだった。

 ふいに肩を叩かれた。「ん?」
 振り返ったと同時には腕を強く引っ張られた。足も払われる。ぐるっと身体が回転し、一瞬だけ赤く染まる空が見えた。
 次の瞬間、息が詰まるほどの衝撃を背中に受けた。真上には夕焼けの空に小鳥の大群。
「な」何が起きたの? と口にしようとしたが痛みで声が出なかった。投げられたのだと気づいたのは数秒後で、の傍らで見降ろすアニが、目を白黒させていた。

「驚いた。このくらい避けると思ってたのに受け身も取れないなんて」
「もしかして背負い投げされた?」
「した」と答えたアニは、腰を曲げてに手を差し伸べた。「謙遜じゃなかったんだ。ホントにダメなんだね」
「だから新米で技術もないって言ったじゃん。ひどいな」
 アニの手を取って起き上がったは、「いたた」と眼を眇めて腰をさすった。丸くさせた眼でアニは疑ってくる。

「それにしたってこれはないでしょ。あんたホントに調査兵団なの?」
「調査兵団に憧れてるからって、自分で兵団の服を作って紋章を縫いつけたとでも? キース教官にも言われたけどさ、そんな嘘ついてどうするの」
 苦笑していると、真剣な顔つきになったアニにいきりなり胸ぐらを掴まれた。また背負い投げされそうになったがフリだった。

「教官が見てる。くだらないことで減点されたくないから、フリでいいからつき合って」
「どこどこ?」
 は探して頭を振る。近くにいるキースと眼が合う。

 目にゴミでも入ったのか。キースはごしごしと何度も片目をこすって、こちらをまじまじと見ていた。やがて眉間を押さえて首を振る。またフラフラと遠ざかっていく去り際に、
「訓練兵に花を持たせてやったんだろう、そうに違いない。でなければ、あんな簡単に投げ飛ばされるなどありえん。そうだ、そうに違いない」
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