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水平線に消えゆく[進撃の巨人/リヴァイ]

第2章 :神業と出立と霹靂(そんな程度の女)


 じっと見てくるアルミンは口を開かない。は首を傾けた。
「どうしてそんなことを聞くの?」
「立体機動が下手でも、体力がなくても、調査兵になれるものなんですか?」
 何を知りたいのだろう。自信がなさそうなアルミンの顔がの茶の瞳に映る。
「憲兵団でもなく駐屯兵団でもなく、もしかしたらアルミンは、調査兵団へ入りたいのかな?」

「ぼ、僕みたいな飛び抜けた技術もない人間が、調査兵団になんて、お、可笑しいですよね」
 アルミンは言葉を詰まらせて半笑いする。眼は泳いでいた。
「可笑しくなんてないと思うな。それ、エレンは知ってるの?」

「言ってません。エレンは僕を危険な目に合わせたくないのかも。でも僕はエレンと一緒に調査兵団に入りたいと思ってるんです。だけど……僕なんかがそばにいたら足を引っ張るだけですよね」
 寂しそうに吐き捨てた。

 この世界に友人がいないは、エレンとアルミンの友情を微笑ましく思った。
 今日の講義を振り返る。教官から指されたアルミンは、すべての質問をすらすらと淀みなく答えてみせた。彼は頭の回転が早くて賢いのである。

「技術も大事かもしれないね。でも君には誰よりも勝る頭脳がある。物理的な力だけがすべてじゃない。その知恵が必要とされるかもしれない。自分の得意分野で友達や仲間を救えるとは思わない? 足を引っ張るなんてこと、ないと思うなボクは」
「背中を押してくれるんですか」
「ボクなんかに押されても嬉しくないかもしれないけどさ」
 肩を竦めてちょこっと笑うと、アルミンの笑顔が本物になった。

「そんなことないです。卒業まであと残り少ないけど、諦めないで頑張ってみようと思います」
「そうだよ、諦めるには早いよ。さ、一緒に行こう訓練場へ」
 はアルミンの肩を叩いた。彼は首を傾けて苦笑する。
「苦手な格闘術ですが、こてんぱんにやられてきます」

 講義は終わったというのに、は帰らずに訓練風景を眺めていた。彼らが各兵団へ入りたい理由は様々だ。胸を張って堂々と言えない者が大半なのだろうけれど。
 組み手をしているエレンの顔から汗が散る。努力の雫は夕日に照らされて光っていた。体格の大きい少年と組み合ってしまったアルミンも、何度も投げ飛ばされながらも立ち向かっていく。
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