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水平線に消えゆく[進撃の巨人/リヴァイ]

第2章 :神業と出立と霹靂(そんな程度の女)


「教えてくれてありがとう。自殺願望なんてないけどね」
 後ろに首を巡らせては苦く笑ってみせた。教えてくれた子は、顎までの長い前髪を横に流している少女だった。

 調査兵団に入ろうとする人間は誰もいない。ミカサの言葉の意味がには何となく理解できてきた。壁の外を調査する調査兵団は必然的に巨人と戦闘になる。すなわち死亡率が高いから人気がないということなのだろう。

 見下した眼つきでジャンはにやにやと言う。
「なるほどな、それで納得だぜ」
「なにが納得?」
「あんた、キース教官から通過儀礼を受けてたろ」

「それでか」と、机の上に両腕をだらんと伸ばしたエレンは顎をつける。「お前は何者だとか、何をしにきたとか、聞かれたろ?」
「すごい剣幕で何者だ、って怒られたけど。それが君たちの言う通過儀礼ってやつなの?」

「それそれ! 俺たちも全員やられたんだぜ!」
 背の低い坊主の少年が正面の輪を割って入ってきた。
「あれマジ怖いよな。俺さ、敬礼を間違えて右に拳を当てちまったんだけど、お前の心臓は右にあるのか! って頭掴まれたんだぜ」
 と恐怖の面で頭を抱えた。

 ジャンは思い出し笑いをした。
「あれをきっかけに、コニーはアホで有名になったんだったよな。ま、なくてもいずれバレてただろうけどさ」
「うるせぇな! お前なんか馬鹿正直に憲兵団へ入りたいって言って、頭突き食らってたろ!」
「何のために来た、って聞かれて俺の願望を隠さず言っただけだ」
 頭突きされた日を思い出したのか。曲げた唇の下に皺を寄せてジャンは腕を組んだ。

 から話が逸れていて、いい傾向といえた。この流れを保つために話題の幅を広げていこう。
「ジャンは憲兵団を志望してるんだ。それってなんでか聞いていい?」
「決まってんだろ、内地で暮らすためさ。安全が保証されてるんだぜ」
「俺も憲兵団に入って、貧乏な村から母ちゃんをこっちに呼んでやりたいけど……無理だろうな」
 コニーは気を落とした。

「どうして無理なの? 希望すれば入れるんじゃない?」
「お前、世間知らずだな。コニーといい勝負だ」ジャンの見下しの眼に拍車がついた。「憲兵団はエリートなんだ。選ばれた人材しか必要とされない。だから訓練兵団で上位十位までの者しか志願できない、って決まりなのを知らないのか」

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