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水平線に消えゆく[進撃の巨人/リヴァイ]

第2章 :神業と出立と霹靂(そんな程度の女)


 は作品名「凍りつく笑顔」という彫刻になった。訓練兵よりも下の下とリヴァイから言われたに、武勇伝などあるわけない。壁外に出た経験もなければ、まともに立体機動もできないのだ。笑顔を輝かせるエレンに何と答えたらよいのだろうか。
「前回の続きからで、巨人の生態についてを教える。二〇二ページを開きなさい」
「やべっ。講義に集中しないと点数に響く」
 教官の声のおかげで話が流れた。ほっと息をつき、もペンを持って前を向いた。

 講義の内容は、ハンジの資料やリヴァイから聞いた話と大体同じで復習に近かった。黒板に書き連ねていくチョークの叩くような音だけが響く。訓練兵は黙々とノートに書き写している。
(巨人の弱点はうなじ。縦一メートル横十センチの部分を削ぐと絶命する。それ以外の部分は傷をつけても再生してしまう)

 強そうな筆圧で真面目に書き取りしているエレンのノートを盗み見てみた。字は下手でも読める。書かれている文字は筆記体であるが、英語ではなく、この世界の文字らしい。
 がノートに書いた文字は日本語であった。言葉もそうだが、不思議なことに眼で見るものが勝手に翻訳されているらしかった。ちなみにの書いた日本語が翻訳されることはないらしい。フェンデルへ宛てた手紙で検証済みだ。

 便利なのか不便なのか微妙である。この世界の簡単な文字しか書けないはフェンデルとの文通で碌な報告ができていなかった。だというのに彼は、「が元気にしていることが分かればそれでよい」と言ってくれている。本来の目的を忘れているのかもしれない。
(文字のことで特別困ってもないし)
 結局のところ、あまり不便に感じていないので根を詰めて文字を習得しようとまでは思わなかった。それは、がこの世界に執着していないからともいえた。

 一時間半の講義が終わってノートを鞄に閉まっていた。熱い眼差しが横顔を焦がしてくる。膝を揃えてこちらを向いているエレンの期待の表れであった。
「なんか顔が熱いな」
「早く終わんないかなって今日の講義に集中できませんでした。聞かせてもらえますよね? 武勇伝!」
(まだ言ってる)
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