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水平線に消えゆく[進撃の巨人/リヴァイ]

第2章 :神業と出立と霹靂(そんな程度の女)


「……今夜は早めに床に就こう」
 何かに打ちのめされた様子のキースは、訓練兵たちのもとへ戻っていこうとした。
「本日の講義を受けさせてもらってもよろしいでしょうか? これもリヴァイ兵士長の指示なんですけど」
「次の講義は、いま行っている救命講習のあとだ。そこの建家で待機してろ」
 と、点在するプレハブ小屋の一つを人差し指で示してくれた。
「ありがとうございます」
 どこか消沈している大きな背中にはおじぎをした。結局どうして怒られたのか分からなかったが。

 プレハブ小屋の室内では一番後ろの席に座った。正面の教卓越しには白いチョークの跡が薄ら残っている黒板がある。
 複数の声が混ざったざわざわ感が外から近づいてきた。やがて扉が開き、若い少年少女たちがぞろぞろと入ってきた。歳は十代の真ん中に差し掛かろうとしているくらいか。

 成人しているは目立っていた。じろじろと見ながら彼らは席についていく。
(子供たちに混ざって授業なんて、なんか恥ずかしい)
 顔を俯かせていると、窺い気味に隣の席についた者があった。リスのような眼をした少年だ。
「隣いいですか?」
「もう座ってるじゃない」

 口を広げて笑った少年は緊張した様子であった。彼の前の席に腰掛けた金髪の少年も、林檎の山に一つだけ蜜柑が混ざっているというふうな眼でを気にしながら、彼に話しかける。

「エレン。お昼からずっと気になってたんだけど、口にシチューの跡がついてるよ」
 と言って自分の口端を指差した。
「そんな前から気づいてたんなら、もっと早く言えよ、アルミン」
 エレンは拳でゴシゴシと拭う。続いて、エレンの傍らで椅子を引いた少女が淡々と言う。
「てっきり私は、小腹が空いてきたときのために残してるんだとばかり思ってた」

 ここでは思わず、「あは」っと吹き出し笑いをした。
「お腹が空いたら、口についてるお弁当を舐めて空腹を満たすため?」
「ばか! そんなわけないだろ!」と頬を少し赤くしてエレンが黒髪の少女に言う。「ミカサも知ってたんなら、傍観してないで言ってくれよ」
「食事のあとは口許をちゃんと拭く習慣をつけたほうがいい」
 そんなのは幼稚園の年齢で躾られることである。
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