第16章 泣いてなんて、ないよ
『九条さん。
私は、ここに所属するTRIGGERのプロデューサーです。ですから勤務に従事している間は、たしかに私は貴方のもの。
そういう契約ですからね。
しかし、就業時刻が過ぎれば…。私の時間は、友達である四葉さんのものです』
私はロビーにある時計を見上げて言った。時計はたしかに、天が私とこれ以上は一緒にいる事を強要出来ない。と語っていた。
『さぁ行きましょう。四葉さん』
「お、おう!じゃあまたな、てんてん!また会おうな!」
私は環の腕をとり歩き出す。
私と環は、無言のままの天の隣をすり抜けて、出口へと向かうのだった。
頭の良い彼になら、伝わったはずだ。私の気持ち。
私がTRIGGERのメンバーといるのは、あくまで契約に縛られているから。しかし、環は違う。プライベートな時間を彼と過ごすという事は、私が自由意志で選んだのだ。
勿論そこには、契約も、縛りも何も無い。
最近、どういうつもりで3人が私の周りに張り付いているのか?と不思議に思ってはいたが。
やはり彼ら、少なくとも天は、私の事を “ 道具 ” としか見ていないようだ。
さきほど楽が言った通り、道具にはプライベートは必要ないのだろう。私に付きまとっていたのは、私が仕事だけに専念しているか見張る為なのだろうか。
「…あれは、相当 怒ってたな。あいつ」
「改めて、ハッキリと線引きされた感じたったな…。最近は、少し雰囲気が和らいでたような気がしてたんだけど」
「ボクは…」
(違う、のに。あんな事が言いたかったのでは、ないのに)