第93章 選んだのは、こういう道だろ
取り残された5人の間に、沈黙が流れる。肉もまだ半分くらい残っているし、席を立つ者は了以外にはいない。
と、思っていたのだが。巳波も立ち上がった。
「では、私もお先に失礼します」
「なんだよミナ、帰るのか?」
「えぇ。もうここに留まる理由はなくなったので」
『私と親睦を深めなくても良いんですか?私の為の歓迎会ですよね?』
「ふふ、ご冗談でしょう?」
『私をイジめなくても良いんですか?大好きな了さんからのお願いなのでは?』
「あなた…本当に人の神経を逆撫でする天才ですね」
『貴方ほどじゃないですけどね』
「…ご心配なさらずとも、今から自宅で最高のプランを1人で考えますよ。あなたが堪らず裸足で逃げ出してしまうまで、私がイジめ抜いて差し上げますから」
彼は余裕の笑みだけをその場に残して、静かに帰って行った。私はレバーに火が通り過ぎる前に、口へ運んだ。
「今の流れで、なんで普通に肉 食べられるの?狂ってる…」
「火、まだ点いてるよな…なんかこう、体感温度がグンと下がった気が…」
「だよな。お前らもそう思うよな?よかった。俺だけかと思ってたんだよ。あの2人が話してるの聞いたら、寒気がするんだ」
まるで、人を化け物でも見るような目で見てくる3人。その視線は、さすがに心外である。
『言っときますけど、貴方達と親睦を深めたいと思っているのは本当ですよ?』
「へぇ。親睦を深めるって言えば、やっぱりベットの中が手っ取り早」
『理由はどうあれ、これからŹOOĻのマネージメントを引き受けることになったんです。メンバーのことを知りたいと思うのは当然でしょう?』
「え…、そ、そういうもん?」
「TRIGGERのプロデューサーのくせに、なんていうか…割と血の通ったこと言うんだな」
「……」
(こいつら、絆されんの早えな)