第93章 選んだのは、こういう道だろ
「じゃっ!新たな仲間の加入に、カンパーーイ!!」
某高級焼肉店の個室にて、私の歓迎会が行われた。了をはじめ、ŹOOĻもフルメンバーで揃っている。
了の高らかな宣言の後、第一声を発したのは悠であった。
「はぁ!?新しい仲間って何!こいつTRIGGERのプロデューサーじゃん!了さん、どういうこと!?」
『…絶対にこうなるって分かってたじゃないですか。きちんと言っておいて欲しかったです』
「えー?今 言ったんだから良いでしょー?」
了は、温まった網に ペロンと牛タンを乗せた。
私の隣に座ったトウマが、こちらを睨んで言う。
「はっ。せいぜい卑怯な手を使って、俺達のことも売ってくれよ。八乙女プロで、そうしてたみたいにな」
『喜んで。貴方達が、本気で売れたいと思うなら。
ただ、卑怯者にも卑怯者の矜持があるんです。私が目的の為に貶めるのは自分自身のみ。決して、他者を貶めたりはしない。もしそれをしてしまえば、どこかの誰かさんと同じになってしまいますからね』
「…ッチ」
「ん〜?ねぇねぇ!どこかの誰かさんって?」
ツクモの了さん に決まっているだろう。その言葉は心の中だけに留めた。そして、何が気に入らなかったのかトウマは、明らさまに舌を打った。それを特に気に留めることもなく、私はトングで肉を掴んだ。
やはり、塩系から。その中でも牛タンからのスタートは外せない。
いよいよ肉を網に置こうとしたのだが、それより早くカルビが投入された。
私は、驚愕の表情で目の前の男を見る。
「な、なに。その顔…怖いからやめろよ」
悠は私から目を逸らして、次々にタレ肉を網へ乗せていく。とんでもない男と、焼き場を共有することになってしまったものだ。
信じられないという気持ちで、私は彼のトングを目で追ってしまう。
「だからなんだよさっきから!なんか言いたいことあるんだったら言えば?!」
『え?では遠慮なく。ここから、こっちは、私のゾーンですので肉を絶対に置かないようにお願いします。
あと、私は貴方と仲良くなれる気が、まっったくしません』
「は!?なんでそんな酷いこと言…っ、いや、全然イイけど!!オレだってお前なんかと仲良くしてやらねぇから!」
「あっはは!いいぞっ!やれやれー!」
了は、楽しそうに私達を煽るのであった。