第93章 選んだのは、こういう道だろ
龍之介が、唸るように叫ぶ。
「また、君は…また君は!自分を犠牲にしようとするのか!!」
『龍…』
「ツクモのところになんて、行かせない。行かせるわけない。絶対にだ!」
彼が激昂することは、ほとんどない。私も滅多に見ることはないし、それはきっと他の2人も同じだろう。
楽が、龍之介の剣幕に驚いている。その間に、天が口を開いた。
「龍、過保護が過ぎるよ」
「天に何を言われても、俺はこの子をツクモへ行かせはしない。奴がさらに危険な男だと分かったんなら尚更だ」
今まで、見たこともない構図だ。天と楽ではなく、天と龍之介が口論する場面など。
睨み合う2人を前に、私と楽は密かに震えた。
「お、おい。お前が止めろ」
『嫌ですよ、怖いから』
「俺だって怖ぇよ!」
『私への餞別代わりに、楽が止めてください』
「餞別とか言うな!寂しいじゃねぇか!」
私と楽がヒソヒソと話している間も、2人の剣幕はさらに増していく。
「龍。それは、ただの十龍之介としての意見?
それとも…TRIGGERの、十龍之介としての意見?」
「どっちの俺も、全力で反対してる」
「そう。じゃあ2人のキミに質問させてもらう。
キミ達は、彼の言葉をきちんと聞いてた?理解しようとした?」
天は、立ち上がっている龍之介を冷たい目で睨み上げた。
「プロデューサーが 自分を犠牲にするなんて。その口で一度でも言った?顔を見れば分かるでしょう。彼にそんな気がないことくらい。楽ですら、それくらい気付いてる。だから、ギャーギャー喚きはしても、本気で止めはしなかったんだ」
「ギャーギャー喚いて悪かったな」
「……」
「あぁ、そうか…。プロデューサーの、一番近くにいるキミだからこそ、気付けなかったのかもしれないね」
天は、そう言った直後に優しい顔付きに変わる。