第82章 TRIGGERを独り占めだね
私と楽は、ゴリゴリと押し付け合っていた頭を離した。喧嘩などをしている間にも、船はどんどん知らぬ方向へ流されているらしい。
「……ごめん。俺のせいだ」
ぽつりと、龍之介が落とすように言った。
『え?』
「龍が謝る必要ないんじゃない?」
「そうだぜ。お前は何も悪くないだろ」
「いや、船を運転してたのは俺だし、それにここ最近は皆んなに迷惑かけっぱなしだ。
スイカは木っ端微塵にするし、ボールだって消し飛ばしちゃうしさ。
だから…楽と春人くんが喧嘩するのだって、俺が不甲斐ないからで」
今にも頭を抱えて、蹲ってしまいそうな龍之介。私と楽は、堪らず ガっと肩を組んで笑顔を作る。
「龍!だ、大丈夫だ!ほら見ろ!俺と春人は喧嘩なんかしてねぇから!」
『そ、そうですよ!ほら見て下さい!こんなにも私達は仲良しですよ!』
「……そっか、良かった…」
「今が緊急事態だって分かってる?こんな人達と一緒に遭難なんて、信じられないし信じたくないんだけど」
天は頭に手を当て、溜息を吐く。それを見た楽は、またしても余計なことを口走る。
「大体な。俺と龍と春人は、ほとんど寝てねぇから落ちるのも分かる。でも天は、夜 寝てただろ。なのに俺らと一緒になって、ぐーすか寝ちまうか?普通」
「……は?
なに。ボクのせいだって言いたいの?なら教えてあげる。ボクだって昨日はほとんど寝てない。と、言うよりも寝れなかったんだけどね。どこかの誰かさん達が、わざわざ人の部屋で、朝方まで馬鹿騒ぎしてくれたおかげで」
3人は、声を揃えて言った。
ごめんなさい、と。