第94章 抗うもの
突如現れたダダン一家に驚きを隠せずにいるエースの呟きにマグラが水琴さ、と答える。
「森の外れで合流するよう言われてたんだけど、いつまで経っても来ないもんだから」
「なんにせよ無事でよかった。……サボの奴がいニーが?」
「サボは無事だ。ここにはいねえ……」
弱弱しく呟くルフィの言葉を受け、ドグラはすぐにルフィを背負い立ち上がる。
それを見届けるとダダンはさぁて、と大斧を肩に担ぎあげた。
「逃げるぞ!!」
「はいお頭!!」
すぐさま踵を返し現れた方へと走り去っていくダダン一家の最後尾でエースはくるりと踵を返し立ち止まる。
ついてくる気配のないエースに気付いたマグラがエース、早くと声を掛けた。
「おれは、逃げない」
その言葉に逃げようとしていたダダンたちは足を止める。
「何言ってんだエース!おミー、そいつはやミとけ!ブルージャムのやばさははったりじゃニーぞ!子どもが粋がっていいレベルじゃニーんだよ!」
ドグラの決死の叫びにもエースは動こうとしない。
背後に小さく乱れる呼吸を聞きながら、エースの目はひたりとブルージャムを見据えていた。
「お前らルフィを連れて先に行ってな」
そんなエースの隣にダダンが立つ。自らも残ろうとするダダンの様子に山賊たちは戸惑いを隠せずにいた。
「お頭、でも……」
「安心しな。エースはあたしが責任もって連れて帰る」
「……っ必ず戻ってきてくださいよ!!」
頭の力強い言葉に山賊たちは止まっていた足を再び動かし始める。
一人、また一人と駆け出していく足音は次第に遠ざかり、その場を支配するのは再び炎の燃え盛る音となった。