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【ONEPIECE】恵風は海を渡る【エース】

第94章 抗うもの





 ***
 

 
 ブルージャムは常に周囲を呪い生きてきた。
 最下層の階級であった両親を呪い。
 生きるために人を殺すことすら厭わない環境を呪い。
 海賊というだけでゴミを見るような目で蔑み、また恐れる世間を呪った。

 壁の向こうの煌びやかな世界に憧れた。
 豪華な屋敷に付き従う使用人。その身を纏う華美な衣服に装飾品。
 ただ貴族というだけで、多くの人間が尊敬の念を込めその人物を見つめる。
 その視線の先に行きたかった。
 行けるだけの力を、才能を、器を自分は持っていると確信していた。
 だが生まれが、環境が、世間がそれを許さない。
 
 一度海賊まで身を落とせば這い上がるのは困難だった。海軍からこそこそと逃げ回り暗闇に身を潜める日々。
 東の海ではそれなりの規模の海賊団を率いる長としていくら他の海賊団に一目置かれても、部下に船長と呼ばれてもブルージャムの心は決して満たされなかった。
 オレはお前らのような低俗な輩に評価されたいわけじゃない。
 もっと上の、天上の存在に自身を認めさせたかった。

 __ゴミ山ったってね。オレたちにゃあいい隠れ家なんだ国王

 仄暗い出世欲を腹の底で燻らせていた頃、何の因果か城から使者が来た。
 電伝虫を介して聞かされたのは自分ですら行ったことのない悪逆非道の計画。
 ゴミ山に住む命などまるで歯牙にもかけないその姿勢に自分が求めていたのはこれだと思った。
 圧倒的強者の位置から見る世界。
 人間がアリを踏みつぶしても認知すらしないように、完全に次元の異なる世界を垣間見てブルージャムは心の底から震えた。

 __承知の上だブルージャム。この件が済んだら、もう隠れ住むこともない。

 私の権限で、お前たちを貴族にしてやろう。

 それはブルージャムが運命に打ち勝ち、成功への切符を手に入れた瞬間だった。
 そして同時に確信を深めた瞬間でもあった。

 そう、やはり同じ命ではないのだ。
 あのようなゴミ溜めで惨めに生きる奴らと自分は違う。
 自分は認められ、アイツらは可燃ごみとして燃やされる。

 オレは選ばれたのだ。


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