第94章 抗うもの
「おめェらは自分の生まれを嘆いたことはあるか」
唐突にブルージャムはそうエースたちに問い掛けた。
「オレはある。不運に見舞われた時はいつも思っていた。親が貧乏じゃなければ、もっと真っ当な環境で育っていれば、周囲に自分を理解する大人がいてくれれば。オレは海賊なんてもんに身を落とさなくても済んだんだ」
だがそんな嘆きも今日までだ、とブルージャムは続ける。
「今夜の作戦を言ってなかったな。お前らが運んでいたのは爆薬と油だ。今夜あれを使ってゴミ山を燃やす」
「なんだって……?!」
「大変だ、ゴミ山のおっさん達に知らせねェと!こいつらやっぱ悪い奴だ!」
その内容にエースとルフィは声を上げる。騒ぐんじゃねぇ、とブルージャムは二人を一瞥し部下に押さえろと指示を出した。
すぐさま立ち上がりかけた二人は複数の海賊に地へと縛り付けられる。
「別に黒幕はオレじゃねェ。天上の方々には色々なお考えがあるんだろうさ。オレはただオレの幸せの為に出来ることをしてるだけだ」
どうにか海賊の手から逃れようともがくがエースの何倍もガタイの良い海賊の手からは容易には抜け出せない。
自由にならない身体に歯噛みして、エースはどういうことだ!とブルージャムに噛みついた。
「この仕事が終われば解放するって言ったろ!」
「嘘はつかねェさ。“仕事が終われば”きちんと解放する。尤も、身体が残っているかは分からねェけどな」
ブルージャムの言い様にはめられた、とエースは固く口を引き結ぶ。
結局のところブルージャムはエースたちを無事に解放する気などなかったのだ。
「今夜は冷えるらしい。安心しろじきに熱すぎるくらいになる。おい、その辺の柱に縛り付けとけ」
「うわァ!止めろくんな!」
ロープを持つ海賊がエースたちへにじり寄ってくる。拘束されたら完全に終わりだ。
それをルフィも分かっているのか隣で激しく抵抗するもルフィを捉える腕はピクリとも動かなかった。