第94章 抗うもの
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昨日同様、エースとルフィはブルージャムの拠点を中心に木箱をグレイターミナルのあちこちへ運んでいた。
怪しまれないように黙々と作業をこなす。ルフィはそわそわと落ち着かない様子だったが、エースがたしなめれば渋々とだが大人しく従った。
そうして働くこと半日。積まれていた木箱が全て無くなる頃には日は傾き始めていた。
「よォしご苦労だった。大仕事は夜だ。それまでは休め」
ブルージャムの言葉に踵を返そうとすれば待て、と低く制止の声が掛かる。
「せっかくだ、ここで休んでいけ。なァにこれだけの仕事をした仲だ。少し親睦を深めようじゃあねェか」
「………」
言葉は友好的だがその目は油断なくエースとルフィを見下ろしていた。内心舌打ちをしながらエースは黙ってその場に座り込む。
本当は根城に戻り水琴と情報共有をしたかったがここで無理に帰ろうとして疑念を深められても困る。
それにブルージャムがここにいるのであれば、その間水琴はある程度自由に動くことができるわけでもある。
ならばここで奴らを見張っているのも一つの手だろうとエースは酒を煽るブルージャムを静かに睨みつけた。
「エース、おれ腹減った」
「我慢しろ。明日には解放されるんだ」
「水琴とサボどうしてるかな」
早く会いてェな、と呟くルフィの言葉には黙ったまま、エースはただじっとルフィの隣に座り続ける。
どれだけの時間が経っただろう。海賊たちが酒に浮かれ、下品な笑い声を上げているうちに辺りは暗さを増し夜が訪れていた。
暗い空に月が浮かび始めている。