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【ONEPIECE】恵風は海を渡る【エース】

第94章 抗うもの





 ***

   
 水琴がエースとルフィを見送っていたのと同じ頃。サボは用意されていた服に着替え朝食を取り、ステリ―の家庭教師だという女性を迎えていた。
 あまりにも昨日と同じ様子に一瞬ステリ―に騙されたのではないかと疑ったが、駐在所での話は事実だ。
 ならばこの話はごく一部の者だけに伝わっていることで、大多数は知らないのだろうか。
 もしそうなら計画に穴を開けられるかもしれない。そうだ。天竜人の機嫌を取るために国の人間を焼くなんてどう考えても馬鹿げている。
 計画実行の前にそれが周囲に広まり反発する者が出れば、いくら王族だってそう簡単に実行できないに違いない。
 目の前で何やら甲高い声でしゃべる家庭教師の話を右から左に流し、サボは屋敷を抜け出す隙を窺っていた。
 午前中は無理だ。不本意だがステリ―と一緒に家庭教師の授業を聞かなければならない。機会は一度。午後の休憩時間の時だけだ。
 逸る気持ちをじっと押し殺しながらサボはその時を待った。ようやく人の目が無くなったのを見て静かに行動を起こす。
 自室へ戻り着慣れた青い服へと着替える。そして昨夜と同様窓を開け外の様子を探った。
 この国では午後にお茶をする習慣があり、ほとんどの者が家の中か店に引っ込んでいるため住宅街を歩いている人の姿はない。
 すばやく飛び降りサボは大通りの方へと駆けた。

 「ゴミ山で今夜火事が?」

 通りに面したテラスで優雅にお茶を嗜んでいた老紳士にそれとなく話を振ってみる。首を傾げる様子にサボはあぁやはり知らないのだと安堵した。
 
 「知っているがそれがどうしたのかね?」

 しかし続けて発せられた言葉に思考の何もかもが固まった。
 呆然と自身を仰ぎ見るサボを老紳士は不思議そうに見つめ返す。その瞳は穏やかでまるで天気の話をしているような気軽さだった。

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