第94章 抗うもの
「ブルージャムの奴らを一網打尽にすりゃあ他の奴らに危害を加えられることもないだろ。それならサボだって早く戻ってくるかもしれない」
「それじゃあぶっ飛ばすのか?」
「お前な。あいつら何人いると思ってんだよ。真正面からやりやってそう簡単に海賊団壊滅できるか」
せっかく懐に入れてくれてんだ。十分利用してやろうじゃねェかとのたまうエースに水琴は何を考えているのか悟り蒼褪める。
「まさかエース、このままブルージャムを探る気?」
「何かきな臭いことをしようとしてるのは分かってんだ。うまいこと弱みを握れればどうにかなるかもしんねェだろ」
「ダメだって!危ないよ」
慌てて水琴はその提案を却下する。もしほんの少しでも勘付かれれば真っ先に危険になるのは二人だ。
そんな役回りをやらせられない、と水琴はまっすぐ挙手をする。
「じゃあ私が賞金稼ぎに扮してブルージャム狙うのは?」
「それこそ却下だ!下手すりゃ全員まとめてしょっぴかれるだろうが!」
「私が捕まるヘマすると思う?」
「今捕まらなくても指名手配されればここにいられなくなんだろって言ってんだ!」
「でも!エースとルフィの命を危険にさらすよりよっぽど良いでしょ」
「だからなんだっておまえはいっつもそうやって__!」
「あー!もうわっかんねェ!!」
兄と保護者に挟まれ左右からまくしたてられる言葉の弾丸にしびれを切らせたのかルフィが吼えた。
両手を振り上げ叫んだルフィの勢いに押され水琴とエースはいったんその口を閉じる。
「水琴はおれとエースが危ない目に合うのがイヤなんだろっ」
「そ、それはもちろん」
「エースは水琴だけが大変なのがイヤなんだろっ」
「雑な言い方だけど……まァ」
「じゃあ三人で協力したらいーだろ!」
「「………」」
「そーだろ?」
なんで喧嘩すんだよ!とぷりぷりとおかんむりのルフィの言葉に二人は完全に沈黙する。
ルフィの言う通りだ。
危険な目に合わせたくないからと、荒事から遠ざけることだけが守ることではない。
私はそれを、ある親子から確かに学んだはずなのに。