第94章 抗うもの
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コルボ山へ戻ってきた水琴はまっすぐ彼らの根城を目指した。
風が反応していなかったため無事であると分かってはいたものの、二人仲良く寝そべっている姿を見てようやく息を吐く。
「水琴!帰って来たんだな」
「うん、ただいま」
ひらりと部屋の中へ舞い降りた水琴に気付いたルフィが勢いよく飛び起きた。窓枠へ近寄ってくるのを膝をつき抱き留める。
同じく起きてきたエースのどうだった?という問いに水琴は高町でのことを説明した。
「じゃあサボは戻ってこないつもりなんだな」
「うん……ごめん、私が頼りないから」
「水琴のせいじゃねェよ!悪ィのはあのおっさんと海賊だろ!」
力強く否定してくれるルフィにありがとう、と微笑みその頭を撫でる。
しかし慰めの言葉をもらっても水琴の心は晴れなかった。自分の言葉が事実だと知っているからだ。
もし水琴に白ひげのような力と影響力があれば、サボだってこの手を取ってくれただろう。
四皇と比べること自体おかしなことだとは分かっている。けれど思わずにはいられない。
もっと、自分に力があれば。
遠い海にまで及ぶような、そんな壮大な力じゃなくてもいい。
ただ、守りたいと思うものを確かに守れる力があれば__
「こら」
思考に沈む水琴の眉間を無視できない鋭い痛みが襲う。
あいた!と水琴は思わず声を上げジンジンと痛むそこを押さえた。
涙目で睨めば今しがたデコピンをかましたエースが呆れた顔で溜息を吐いていた。
「お前な。そうやってなんでもかんでも抱え込もうとすんのやめろよ」
「……私何も言ってないけど」
「表情で大体わかる。今回のことはルフィの言い分が正しい。お前が無駄に責任感じる必要ないんだよ」
つまりはブルージャムさえどうにかすりゃあいいんだ、とエースは堂々と言い放った。