第103章 グランドラインへ
手を差し出す。それを合図に巨大な風が船を包んだ。
「みんな掴まって!!」
風は船を更に前へと押し、速度を増す。
「おい!これじゃさっきよりもすげェ勢いでぶつかるぞ!!どうすんだお嬢!!」
「飛ぶ!!」
十分に勢いがついた頃、水琴はもう一つ風を生む。
「旋風!!」
下から巻き上がる風は船の前方を持ち上げ、そして勢いの付いた船はそのまま宙へ舞った。
船はラブーンの上をぎりぎり掠め飛び越える。
風でバランスを取り、うまいこと船は海面へと着水した。
「……信じられねぇ。船で空飛びやがった……」
「めちゃくちゃすぎるだろ……」
「う、うまくいった……」
昔、遠いアラバスタの地で似たようなことをやったことがあったので咄嗟に思いついたが、なんせ規模が違う。
デュースとキールの言葉を受け今さら震えが来て、水琴は手摺に寄り掛かるように身体を預けた。
正直に言おう。腰が抜けた。
「……くっ」
ずっと黙っていたエースから声が漏れた。
「はっはっは!いやー。死ぬかと思った」
「笑い事じゃねぇだろエース!」
「一歩間違えば全員お陀仏だぞ!分かってんのかお前!!」
「何とかなったんだから良いだろ別に。水琴、よくやった!」
「ありがと船長……」
「いやァ、これだけのこと笑って流すたァエースも豪胆だねェ」
気持ちのいい笑顔にぐったりと水琴は返す。
入口を塞いでいたラブーンはひとしきり吠えると海へと潜っていった。
消えていく尻尾を少しだけ恨まし気に見送る。