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【ONEPIECE】恵風は海を渡る【エース】

第103章 グランドラインへ






 ***







 「右!右危ない!!」
 「ロープしっかり張れェ!!」
 「なんて嵐だよ?!」


 リヴァースマウンテンへ近づくと穏やかな海は一変した。
 荒れ狂う嵐の中水琴たちは船が沈まないよう必死に舵を取る。

 「見えた!!」

 トウドウが叫び、舵を切った。
 ぐらりと揺れた船は一直線に壁の切れ目へ吸い込まれていく。

 「どんなもんでェ!」
 「トウドウさすが!!」
 「おい、山上ってるぞ。すげぇなこりゃ」

 勢いに乗り少し余裕が出来たデュースは光景に唖然とする。
 キールも噂には聞いてたけどな、と首を振った。

 「実際に体験すると異常さが際立つな」
 「グランドラインだからな。こうでなくちゃ面白くねェよ」

 ロープに掴まり身体を支えながらエースは笑う。

 「さァ、てっぺんだ…!」


 ざばぁあん!!と大きな波しぶきを上げピースオブスパディル号は頂上へ辿り着く。
 四本の海流は合流し、偉大な海へと流れ落ちていった。
 重力と海流の勢いに押され、ものすごい勢いで船は下る。

 「やばいやばいやばい!!」
 「お前ら落ちんなよ!流石にここで溺れたら助けらんねぇぞ!」
 「おいエース、前なんかあるぞ!!」
 「あァ……?」

 デュースの声に水琴も前を向く。
 そびえ立つ黒い壁にとある存在を思い出し水琴は蒼褪めた。

 「しまった……」
 「どうした?」
 「エース!前、鯨!鯨がいる!!」
 「はァ?!」
 「おい、どうすんだ?」
 「何とか避けてトウドウ!」
 「無茶言うな!こんな大型の船通る隙間ねェぞ!!」

 鯨、ラブーンは山へ向かって大きく吠えている。
 鳴き声にビリビリと船が揺れた。

 「このままじゃ大破だ!どうする?!」
 「くっそ……!」

 トウドウの叫びにエースは舌打ちで応えた。
 打つ手などない。悩んでいる間に船とラブーンの距離はどんどん近くなる。
 誰もが動けない中、意を決した水琴が先頭に立った。
 その背中にキールが訝し気に声を掛ける。

 「おい、何する気だ?」
 「うまくいくか分かんないけど」

 チャンスは一度。ドキドキする心臓を無理矢理抑え込み、水琴は集中する。

 思い出せ。
 大丈夫、あの時だってできたんだ。


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