第103章 グランドラインへ
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「右!右危ない!!」
「ロープしっかり張れェ!!」
「なんて嵐だよ?!」
リヴァースマウンテンへ近づくと穏やかな海は一変した。
荒れ狂う嵐の中水琴たちは船が沈まないよう必死に舵を取る。
「見えた!!」
トウドウが叫び、舵を切った。
ぐらりと揺れた船は一直線に壁の切れ目へ吸い込まれていく。
「どんなもんでェ!」
「トウドウさすが!!」
「おい、山上ってるぞ。すげぇなこりゃ」
勢いに乗り少し余裕が出来たデュースは光景に唖然とする。
キールも噂には聞いてたけどな、と首を振った。
「実際に体験すると異常さが際立つな」
「グランドラインだからな。こうでなくちゃ面白くねェよ」
ロープに掴まり身体を支えながらエースは笑う。
「さァ、てっぺんだ…!」
ざばぁあん!!と大きな波しぶきを上げピースオブスパディル号は頂上へ辿り着く。
四本の海流は合流し、偉大な海へと流れ落ちていった。
重力と海流の勢いに押され、ものすごい勢いで船は下る。
「やばいやばいやばい!!」
「お前ら落ちんなよ!流石にここで溺れたら助けらんねぇぞ!」
「おいエース、前なんかあるぞ!!」
「あァ……?」
デュースの声に水琴も前を向く。
そびえ立つ黒い壁にとある存在を思い出し水琴は蒼褪めた。
「しまった……」
「どうした?」
「エース!前、鯨!鯨がいる!!」
「はァ?!」
「おい、どうすんだ?」
「何とか避けてトウドウ!」
「無茶言うな!こんな大型の船通る隙間ねェぞ!!」
鯨、ラブーンは山へ向かって大きく吠えている。
鳴き声にビリビリと船が揺れた。
「このままじゃ大破だ!どうする?!」
「くっそ……!」
トウドウの叫びにエースは舌打ちで応えた。
打つ手などない。悩んでいる間に船とラブーンの距離はどんどん近くなる。
誰もが動けない中、意を決した水琴が先頭に立った。
その背中にキールが訝し気に声を掛ける。
「おい、何する気だ?」
「うまくいくか分かんないけど」
チャンスは一度。ドキドキする心臓を無理矢理抑え込み、水琴は集中する。
思い出せ。
大丈夫、あの時だってできたんだ。