第6章 春の虹
コロッケをいただいたときも思ったけど、相葉さんのご飯は、めちゃくちゃ美味しい。
きっと、ひと手間もふた手間もかけてるんだろうな、と思わせる奥深い味がする。
見た目も綺麗だし。
「…このパンもおいしいです。すっごく」
思わず呟いたら、
「そう?じゃあ、たくさん作ったから余ったら持って帰りな」
と、いわれて、呆気にとられてしまった。
「このパンも手作りなんですか?!」
「うん」
相葉さんはニコニコして、はい、と山積みのパンのカゴを俺に寄せた。
どれだけスキルの高い人なんだ。
仕事もできて、料理もできて、男前で…100点満点じゃん。
俺は、感嘆のため息をついた。
「なんでもできるんですね…係長って」
「そんなことないよ。でも久しぶりに気合いが入った。やっぱり食べてくれる人がいると嬉しいな」
「……そうですか」
それは、サトの父さんがこの家に出入りしていた頃のことなのだろうな。
何気なくキッチンにおかれてた写真を目で追おうとして、あれ、と思った。
定位置にない。