第6章 春の虹
「いらっしゃい。どうぞ」
インターホンを鳴らしたら、すぐに扉がひらき、エプロンをつけた相葉さんが出迎えてくれた。
中からとてつもなくいい匂いがする。
俺はぺこりと礼をした。
「あの……今日はお招きありがとうございます。これつまらないものですが」
緊張しながら、買ってきたケーキを差し出すと、相葉さんはくすくす笑った。
「なんだよ、かしこまって。でもありがとう。あとでデザートに食べようね」
1週間前に、蒼白な顔でキッチンにうずくまっていた人と同一人物とは思えないほど、ハツラツとした笑顔の相葉さんは、もうすぐできるよー、と朗らかに笑った。
座ってて、と声をかけられ、とりあえず、ソファにちょんと座る。
小さな2人がけのダイニングテーブルは、ランチョンマットがひかれ、綺麗に盛られたサラダやら焼きたてっぽいパンが並べてあってワクワクした。
「ビーフシチューにしたんだ。二宮食べれる?」
「はい。好きです」
よかった、と相葉さんはくふふっと笑った。
この人のこの笑い声が好きだ。