第6章 春の虹
…………………。
こういうとき、深読みしちゃうのが、俺の悪い癖だ。
そりゃ、数回しか見てないけど、でもいつも同じ位置にあった、相葉さんの恋人の笑顔の写真。
どういう理由で、あの位置にないのか。
………恋人に、俺を見せたくなかった、とか?
俺の立ち位置はただの部下なのに、やはり、この家に、他の男は入ったらまずいってこと?
「……二宮?どした?」
急に固まった俺に、相葉さんが気遣う顔になる。
いけない。
慌てて取り繕う。
「いえ。美味しすぎてぼーっとしちゃいました」
「なんだ、それ(笑)」
相葉さんは笑ってぱくりとパンを食べる。
俺も、2つ目のパンに手を伸ばし、もそっとかじった。
しっかりしろ、俺。
叶うはずのない思いであることは分かっていたはずだ。
相葉さんの対応がどうであれ、今、俺を相手にしてくれていることに感謝しなくちゃ。
腹に力をこめて、ぎゅうっとした胸をやりすごす。
傷つくなんてお門違いだ。
思いがバレたら、上司と部下の関係ですらなくなる。
それだけは嫌だ。
「こんな葉っぱみたことないです…」
確実にレタスではない野菜を見ながら呟くと、相葉さんは声をたてて笑った。
これでいい。