第6章 春の虹
「あのさ、雅紀さん」
俺が、口をふいてると、智は俺と目をあわせてきた。
「……ん?」
内心ドギマギしながら、平静を装ってると、透明なくもりのない瞳で、智は俺に言った。
「……もし、好きな人ができても、俺や父ちゃんに気を使わないでね」
「…………え?」
ドキリとする。
考えていたことを言い当てられたようで、なんだか焦る。
「雅紀さん、これから先ずっと1人で生きていくの?」
「……そうだよ」
「今回みたいに具合悪くなっても、そばに寄り添う人いないなんて……俺はその方が心配なんだけど」
「……………」
「父ちゃんを愛してくれてるのは嬉しいよ。でも、雅紀さんには幸せになる権利があるよ」
「………智」
「俺は、もう大丈夫。潤がいるから。だから、雅紀さんも自分のことを考えて」
「…………」
「父ちゃんも雅紀さんに、自分がいなくても笑っていてほしいって…絶対思ってるよ」
ひとつひとつのしっかりとした言葉が胸に染み渡る。
……智の純粋な想いが伝わってくる。