第6章 春の虹
「ちょっと疲れてたのかな……」
年だしね、と俺は微笑んだ。
智は、そんな年じゃないでしょ、と、言いながらキッチンに目をむけた。
「誰かお見舞いきてくれたの?」
「……え?」
「や。台所にあったレジ袋に、風邪薬とか栄養ドリンクとか、なんかいっぱい入ってたよ」
「ああ……うん。会社の子がね」
二宮くんとは、言わない方がよいだろう。
俺は、無難に言葉を濁した。
「ふーん……」
智は言って、俺をチラっと見上げた。
その何か言いたげな視線に、俺は首を傾げる。
「ん?」
「…それってさ」
「うん……(もぐもぐ)」
「雅紀さんの恋人?」
「…っ…げほっ」
俺は盛大にうどんをぶちまけた。
「あーあー…もう。」
げほっげほっと咳き込む俺の背中を、智の優しい手のひらが撫でる。
「そんなんじゃないよ…」
やっとの思いでそれをいうと、智は、そーぉ?と心配そうな顔になった。