第6章 春の虹
「具合悪くなったらなったで教えてくれないと」
智がプンプンしながら、急いで買ってきたという、うどんを煮込んでくれてる。
俺は、ソファーに横になったまま、ごめん…と、笑うしかない。
「はい。朝から何も食べてないんでしょ」
「……ありがとう」
出汁の香りのする丼をさしだされる。
俺は、ゆっくり起き上がって、それを受け取った。
卵とトロロののったそれは、とても美味そうだ。
1口食べて、体がポカポカ温まってゆくのを感じた。
「美味い」
「そう?よかった」
智が、安心したように俺の向かいに座る。
智は、1人暮しのときは何もしない、何も食べないやつだった。
この子に栄養をとらせるのが保護者がわりの俺の使命だったのに…うどんとか作るのは、もうお手の物なんだな、と感慨深い。
潤と出会ってから確実にかわった一面だ。
「珍しいね。雅紀さんがこんなに風邪をこじらせるなんて」
ふーふーする俺を、智が心配そうに見てくる。