第6章 春の虹
しばらく考えること数秒。
………!
俺は、全てを思い出して、ベッドをおりた。
二宮くん…!
いつのまにか部屋着に着替えてる。
一方で、部屋の隅に綺麗に畳まれた今日の俺の服。
頭元にあるスポドリと、額に貼ってくれていたであろう冷却シート。
ぼんやり覚えてる記憶の断片には、俺の腕をしっかりと握る二宮くんの心配そうな顔がある。
そうだよ……俺、ガラスも割ったよ!
で、二宮くんが、いて……
キッチンにたどり着けば、床は綺麗に掃除され、シンクもふきあげられていた。
IHの上には、最近つかってなかった小さな銀の小鍋。
中をみたら、おかゆが作ってある。
………これ、二宮くんが?
ふと、傍らに手帳をちぎったと思われる紙をみつけた。
手に取ると、彼の几帳面な字で、
お大事になさってください
と、一言。
「……………」
こういうそっけない優しさに……俺は弱い。
俺は、へなへなとその場に座り込んだ。
後にして思えば、完全に二宮くんにやられた瞬間だった。