第6章 春の虹
ノックじゃ聞こえないかも、と、インターホンを何度か押すが、応答はない。
どうしよう、それとも今の割れる音は俺の気のせいかな……と迷うが、知らんぷりしてこのまま帰るには嫌な予感がする。
相葉さん……!
俺はノックする手をそのままノブにおろし、思わず引っ張った。
「!」
すると、それはあっさりと手前に開く。
あいた!
一瞬ビックリしたが、俺は迷わず中に入った。
「係長!!二宮です!入ります!」
声をかけながら、靴を脱ぎ捨て廊下を走った。
そうして、リビングに続くガラス扉を開け放つ。
目に入ったのはキッチンでうずくまる相葉さん。
周りには割れたらしきガラスの破片が散乱してる。
「係長!!」
俺は手近の雑誌をひっつかんでガラスの破片をブルドーザーのようにはしによせ、気をつけながら、相葉さんに手を伸ばした。
相葉さんは、え……?と、いうような顔を俺に向ける。
その顔は蒼白でドキリとした。
「…なんで、二宮……?」
「玄関あいてました。それより大丈夫ですか。立てますか」
「ああ…ごめん……水飲もうと思ったら、ちょっと目がくらんで」
相葉さんの手をゆっくりひいてその場から立ち上がらせる。