第6章 春の虹
息を弾ませつつ、相葉さんの部屋の前に到着した。
……ちゃんと帰ったかな
しんとした扉をみつめる。
…ここは、すこし年季の入ったマンションだから、エントランスの出入りは自由だ。
相葉さんなんて、若いしお金もあるだろうから、セキュリティーのもっとしっかりしたところに引っ越せば良いのに、と思ったけど、こういうときは便利だなって思う。
……きちんと寝てくれてたらいいけど。
心配はつきないが、これ以上俺は踏み入っちゃいけない気がして、さげてきたレジ袋をそっとドアの前に置いた。
早く元気になりますように。
そして、もう一度扉をみつめ、俺はペコっと礼をし、踵を返しかけた。
瞬間。
中から、ガチャーンっと何かが割れる音が、微かに聞こえた。
え?!
ドキリとして、慌てて振り返る。
「係長?!」
俺はドアをコンコンコンとノックする。