第6章 春の虹
俺は帰り支度をしながら、ぼんやり気味の相葉さんに声をかける。
「とりあえず帰ってください。あとで何か買って差し入れます。薬とか家にあるんですか」
「………たぶんある…かな」
男の一人暮らしにしては、相葉さんはいろんな面で丁寧に生活してる人だから、問題ないと思ってたけど、やっぱり具合いが悪いと大雑把になるのか、どうにも頼りない。
「寝ててくださいね。また外においときますからね」
「うん…ありがと」
朝よりは声はでるようになってるけど、それに反比例するように体温は上昇してるみたいだった。
フラフラと遠ざかる細い後ろ姿を見送りながら、俺は足早にドラッグストアに向かった。
薬、経口補水液、スポドリ、ゼリー飲料…冷却するシートとか、とにかく役に立ちそうなものをカゴに放り込む。
家にあるかもしれないけど、もうかまうもんか。
腐るものじゃないんだから。
ないよりある方がいいに決まってる。
俺は自分に言い聞かせながら、パンパンになったレジ袋を、ガサガサさげて相葉さんのマンションに走った。