第6章 春の虹
いいよいいよ、と遠慮する相葉さんだが、相葉さんの今日の日程を組んだのは俺だ。
相葉さんが元気に来た場合のプランAと、体調がもどらないから俺がまわるプランBがあって、そのプランBを相葉さんと2人でまわればよいだけの話なのだ。
亀梨さんにふった大口先を、こちらにもどして、その時間の調整を大急ぎでする。
「係長。今日は俺がお供しますね」
そして、初めてここに配属になった時以来、2人でまわることを強調した。
相葉さんは、困ったように頭をかいて、カスカスの声で、
「…アリガト」
と、言った。
お節介がすぎるかな、とちょっと心配だったけど、そこは強引に、2人で社用車に乗り込んだ。
………結果、俺の判断は間違ってなかった。
はっきりいって、使い物にならない相葉さんの声のかわりに俺がほとんど代弁した。
とはいえ、相葉さんの存在は絶大で、先方の態度は、俺1人だったら全然違っただろうな、と思わされるけれど。
今日ほど相葉さんの役にたててると、実感できた日はない。
だが、少し熱い体で、助手席におさまってた相葉さんは、一日が終わる頃には、再びぐったりしてきた。
好きな人と、ずっと一緒にすごせた喜びよりも、一刻も早く休ませてあげたい焦りの方が勝った俺は、必死でその日一日の業務を終えた。