第6章 春の虹
存在は知っていたけど、ほぼほぼ関わりのなかった人。
なのに、一緒に働くようになって、一緒に過ごすようになって…この人の魅力に堕ちたんだ。
「そうだよ…好き…なんだ」
ぽつりと呟く。
言葉にすると、より一層自分の心が明確になった気がする。
……あれは10年以上前だったか。
サトへ向けた想いが無惨に散ってから、もう人を好きになることはないと思っていたのに。
同じ失敗をしそうなのに、俺も懲りないな。
苦笑いしてたら、涙が滲んできて、俺は手の甲でゴシゴシと目を拭いた。
……だって、この想いは絶対に叶うことがない。
なぜなら相葉さんの心には、亡くなったサトの父さんが永遠に生きてるから。
死んだ人には、勝てない。
勝てるはずない。